過酷な戦国時代をハードボイルドに生きる、戦う思想家「鬼谷子〜聖なる謀〜」
「鬼谷子〜聖なる謀〜」
（原題：谋圣鬼谷子 2013年 全52話）
＜ぽいんと＞
＃戦国時代
＃ハードボイルド
＃戦う思想家
＃保守派vs改革派
＃オススメ度：☆☆☆☆☆
＜あらすじ＞
紀元前390年（日本は弥生時代）、中国大陸では戦国七雄が並び立ち、覇権争いが激しい春秋戦国時代。魏国では政変が起こり、既存の社会制度を大きく変えようとしていた宰相王错（ワンツオ）が一族もろとも惨殺された。王错の息子で赤子の王蝉（ワンチャン）は侍女とともに逃亡、郊外の小さな村で育てられたが、10年後、謎の組織「刈首营」（イーショウイン）から命を狙われる。彼らの目的は孙子（スンズ）の「兵法書」（ビンファシュー）であった。当時、「兵法書」を得たものは、天下を得ることができると信じられていたからだ。父の盟友であった史太皓（シータイホウ）により王蝉は命拾いをし、その後、史太皓を父として彼の娘 姮娥（ハンアー）や弟子の建于（ジェンユー）、许戈（シューガー）とともに育つ。
やがて、王蝉は父の意思を継ぐべく魏国で社会改革を目指す。「変法」（ビェンファ）と呼ばれる改革は、貴族の特権を廃し、奴隷を開放するという大胆な策であったため、保守派の貴族から反対を受け目の敵にされていた。「変法」をなんとしても実施しようとする王蝉は、次々と策を弄し戦いを続けていく…。
＜みどころ＞
１シーン１シーンが非常に重いドラマです。戦国時代の残酷な殺戮、謀略の仕掛け合い、「変法」のためには味方を裏切って命を犠牲にしてまで貫くという生々しさで、心がずっしりきます。いわゆる、ノワールもの、ハードボイルドなドラマです。残虐なシーンも多いのですが、謀略がすごすぎて、目が離せません。こんなに命を張って毎日生きているなんて、つらすぎます（怖）
出演俳優陣も名優揃いです。主人公 王蝉（ワンチャン）を演じるのは、段奕宏（ドァン・イーホン） 1973年生まれ、ウィグル出身ですが漢族です。数々の賞を受賞している実力派で、2015年 第18回上海国際映画祭では「烈日灼心」で最優秀男優賞を受賞しています。2017年に開催された第30回東京映画祭では、「暴雪将至」（邦名：迫り来る嵐）という作品で最優秀男優賞を受賞しました。彼の台詞回しが力強くすばらしいです、もちろん、地声ですよ〜。
王蝉の盟友 魏王を演じるのは、房子斌（ファン・ズービン）北京出身です。そして、敵対する楚王を演じるのは、倪大红（ニー・ダーホン）1960年生まれ黒竜江省出身です。二人の重厚な演技がドラマ全体の雰囲気を形成していますね。
そして、王蝉をめぐる二人の女性、姮娥（ハンアー）と今淑（ジンシュー）です。
姮娥は王蝉を刺客から救った父の友人 史太皓（シータイホウ）の一人娘で、幼馴染です。天真爛漫でおてんば娘ですが、さまざまなことがおこるなか、王蝉への愛を貫きます。演じるのは徐麒雯（シュ・チーウェン）、1983年生まれ杭州出身です。
今淑は韩国の王女です。同じく王蝉を好きになってしまい、姮娥を排除しようとします。が、うまくいかず、王蝉とともに楚国へ乗り込み、彼を助けようとしますが…。演じているのは、戚薇（チー・ウェイ）1984年生まれ、四川省成都出身、女優で歌手です。2014年に韓国系アメリカ人 李承铉と結婚、その後、女児を出産しています。ゴージャスな雰囲気の女優さんですね。
最後に、本ドラマの主人公、鬼谷子こと王蝉のモデルとなった人物のご紹介。
王诩（ワンイー）とも呼ばれたこの人物は、戦国時代に諸子百家と呼ばれた思想家の一人。中国の歴史上大変神秘的な人物です。著名な思想家、謀略家であり、縦横家の始祖。また、兵法を集大成した人物であり、百家の学問に精通していました。云梦山鬼谷（ユンモンシャン グイグ）に隠居したことから、鬼谷先生と自称しました。鬼谷子は「謀聖」と呼ばれ、孔子、老子とならぶ学問の大家です。彼はまた、偉大な教育家でもあり、苏秦、张仪、孙膑、庞涓など、その後の戦国時代を左右する弟子を育てました。
本格派歴史ドラマが好きな人は必見です〜！
