中国版「渡る世間」!? 封建社会の日常を丁寧に描く「明蘭〜才媛の春〜」

「明蘭〜才媛の春〜」

(原題:知否知否应是绿肥红瘦

 2018年 TV版 全78話、DVD版73話)

 

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<ぽいんと>

#中世封建社会の家族と考え方

#女性の一生

ラブロマンス

#家庭内外の争い

#オススメ度:☆☆☆☆☆

 

<あらすじ>

关心则乱の小説「知否知否应是绿肥红瘦」が原作。

北宋後期(960~1127年 日本は平安時代鎌倉時代)、下級官僚の盛家には、家長の盛纮(ションホン)のもと、正妻の王若弗(ワンルオフー)、側女の林噙霜(リンチンシュワン)、そして借金を肩に側女にされた卫恕意(ウェイシュイ)のもと、息子が二人、娘が四人いた。卫恕意は主人から目をかけられなかったため、狭い部屋に虐げられて生活していた。その娘 明兰(ミンラン)は利発な少女であったが、母親から出しゃばらず暮らすよう、日々言い含められていた。

長女の婚姻の日、来賓として来ていた白烨(バイイエ)(顾廷烨 グティンイエ)と出会う。また、盛家ノ長男の长柏(チャンバイ)と白烨もこの時に知り合い、竹馬の友となる。

ある日、明兰が生活の窮状を父に訴えた結果、屋敷の管理を任されている林噙霜は主人から怒られてしまい、家の管理を正妻の王若弗に変えられてしまう。気に入らない林噙霜は、卫恕意の出産時に報復を決意する。卫恕意が出産の時に、突然、産婆が失踪してしまう。お腹が大きすぎたため難産となるが、誰も助けてくれず、水も与えられない状態が続くが誰も助けてくれない。明兰は医者を呼びに屋敷を飛び出す。そこへ白烨と出くわし、馬に乗せて医者を呼びに行き屋敷につれてくるが、時すでに遅かった。母は死際、明兰に「常に出しゃばらず、目立たないように暮らすこと」を誓わせて死んでいった。失意の明兰は祖母に預けられ、そこで成長した。

大きくなった明兰は、盛家の私塾で兄弟と一緒に勉強することになり、そこに参加している伯爵の息子 齐衡(チーヘン)に見染められるが・・・。

 

<みどころ>

ドラマの原題は「知否知否应是绿肥红瘦(ジフォウジフォウ インシリューフェイホンショウ)」これは、北宋の女流詩人 李清照(リーチンジャオ)の有名な詩「如梦令」(ルモンリン)の一句です。「(昨夜の風雨で)葉の緑が生い茂り、赤い花が散って赤色が減ってしまっているはずだが、知っていますか」という意味です。同時代の詩をタイトルにすることで、情景が想起できる仕組みですね。

 

さて、本ドラマは日本の人気ドラマ渡る世間は鬼ばかりを彷彿させるような、家族や社会の日々の争いを取り上げた内容です。人殺しや復讐がやたらに出てくる中国時代劇ドラマが多いなか、これは中国の封建社会とそれぞれの家族の問題を丁寧に描いています。

 

儒教の考えのもとに成立している中国封建社会では、女性は虐げられた生活を送っており、特に正妻の子供ではない明兰(ミンラン)はひっそりと生きるしかありません。しかし、時々利発な面を発揮し、問題を解決していきます。彼女は大変静かに生活していますが、実は芯の強い女性であり、一つ一つのセリフに重みがあります。このドラマは、明兰の少女時代からロマンス、結婚、そして母となるまでの成長物語です。

 

下級官僚の家の盛家公爵家顾家と塩商人の白家、伯爵家の齐家など、様々な境遇の家族が登場し、それぞれの家が抱えている問題と他家との関わりが物語の軸となっています。

 

もう一人の主人公、顾廷烨グティンイエ)も家庭の問題を抱えています。明兰と同じく、幼い時に母と死に別れ、父に愛されていません。顾廷烨は「出る杭」な性格のため、継母や兄からも虐げられ、おまけに側女にも裏切られていたことがわかり、失意のどん底に陥ります。しばらくは顾の名字を捨てて、母の実家である白の名字を名乗っていました。その後、明兰と夫婦になるのですが、その過程も見所です。出演俳優の詳細は、次回のブログに書きますね!

 

最後に、地名についてのお話。盛家は最初、揚州(ヤンジョウ)にいましたが、家長の盛纮(ションホン)の出世に伴い上京します。
当時、北宋の首都は現在の河南省開封、当時は卞京(ビァンジン)と呼ばれており、东京(ドンジン)ともよばれていました。ドラマの中でもそう呼ばれています。私は最初「えっ? とうきょう?」と思ってしまい調べたところ、間違いではなかったです(汗)おもしろいですね〜。11世紀から12世紀にかけて、卞京は世界最大級の都市だったそうです。当時の街の隆盛もドラマではよく再現されてますので、お見逃しなく!

 

明蘭~才媛の春~ DVD-BOX1